株式会社エーアイが開発する音声合成ソフト『A.I.VOICE』の新製品として、新しく『紲星あかり』が発売されました。
紲星あかりと言えばVOCALOIDやVOICEROIDとしても販売されている人気キャラクター。我が家でもVOICEROID版をお迎えしており、創作活動で度々使わせてもらっています。なので今回のA.I.VOICE版の発売を心待ちにしていました……!
というわけで本記事では、A.I.VOICE版紲星あかりの使用感やVOICEROID版との違いをレビューしていきます。
といった疑問の解決になれば幸いです。
Contents
使用感はVOICEROIDとほぼ同じ
こちらがA.I.VOICEの操作画面。

VOICEROIDユーザーの方はわかると思いますが、VOICEROIDとほぼ同じですね。
因みにこちらがVOICEROIDの操作画面です。

実際に使ってみたところ音量やアクセント等の調声パラメータの仕様もほぼ同様なので、使用感としてはVOICEROIDと同じ感覚で扱うことが出来ます。VOICEROIDユーザーにはとてもありがたいですね。
もちろん「VOICEROID使ったことない!」という方でも、操作自体に難しいところはないので簡単に使えます。
A.I.VOICE版とVOICEROID版の違い 機能面でさらに進化したA.I.VOICE版あかりちゃん
操作面ではほぼ違いのないA.I.VOICE版とVOICEROID版。
しかし、機能面では明確な違いがあり、A.I.VOICE版はVOICEROID版からさらに進化しています。
①3つのボイススタイルが使える
個人的に1番大きな違いはこれですね。
A.I.VOICE版のあかりちゃんは『喜び』『怒り』『悲しみ』の3つのボイススタイルが用意されており、これにより感情のこもった喋り声を簡単に調声することが出来ます。
そもそもVOICEROIDも『VOICEROID2』というバージョンから感情を調節する機能が使えるのですが、一部の音源さんでは未実装になっていました。
そして悲しいことにあかりちゃんもその1人。せっかくのVOICEROID2なのに感情を調節する機能が使えない、というのがVOICEROID版あかりちゃんの弱点だったのですが、A.I.VOICE版ではこの弱点が見事に改善されました。
実際にこの機能を使ってあかりちゃんに喋ってもらったのがこちらの動画。ここでは『喜び』のパラメータをMAXにしています。
すごく楽しそうな感じで喋ってくれていますね!このように感情がこもった声を簡単に調声出来るのはVOICEROID版にはないメリットです。正直言ってこのメリットだけでもA.I.VOICE版は買う価値ありだと思ってます。
②一部パラメータの入力範囲を広げられる
上で触れた通り、A.I.VOICE版とVOICEROID版の調声パラメータはほぼ同じ仕様です。
しかしA.I.VOICEでは一部パラメータの上限を拡張することが出来ます。
拡張できるのは『話速』『高さ』『抑揚』の3つ。ツールタブの環境設定で変更できます。


これでより幅広い調声が可能になります。調声をこだわる方には非常にありがたい機能です。
③アクセントの精度が向上している
出力する音声にも違いが見られます。
今回特に感じたのがアクセント、イントネーションの面。使ってみたところ、A.I.VOICE版ではここの精度が向上しているように感じました。
試しに「明日、会いに行きます」というセリフをA.I.VOICE版とVOICEROID版に喋らせてみます。どちらもパラメータは同じで、無調声の状態です。
A.I.VOICE版
VOICEROID版
聴き比べてみると「会いに」の部分が違っています。VOICEROID版の方がちょっと違和感のある感じですね。
それぞれのアクセントタブを開いてみるとこんな感じ。


やはり「会いに」の部分が異なっていますね。違和感の正体はこれのようです。
こんな感じでA.I.VOICE版ではアクセント、イントネーションの精度がVOICEROID版よりも良くなっています。喋らせるセリフにもよりますが、A.I.VOICE版の方が調声の手間がいくらか少なく済みそうです。
④音声ファイルの形式を選べる
音声に関する所でもう1つ。
A.I.VOICE版では出力する音声ファイルの形式をWAV,MP3,WAMの中から選べます。

音質重視のWAVと容量の軽いMP3、WMAを使い分けられるのはなかなか便利。私は基本的にWAVを使い、容量を抑えたいときはMP3を使っています。
一方のVOICEROID版はWAVでしか出力できません。なのでMP3やWMA等別の形式を使いたいなら別の方法で変換する必要があります。別に難しい作業ではないのですが(私は波形編集ソフトで変換してます)、A.I.VOICE版に比べるとちょっと手間なのは否めません。
⑤新規ボイス『紲星あかり(蕾)』が付属
さらにA.I.VOICE版には新規ボイス『紲星あかり(蕾)』が付属しています。

おしいことにボイススタイルには対応してませんが、それ以外は通常のあかりちゃんと同じように使用可能。
A.I.VOICE(とVOICEROID)にはVOCALOIDのジェンダーファクターのようなパラメータがないので、幼めなキャラクターのあかりちゃんを演出したいときに便利ですね。
ボイスフュージョン機能を使うとボイススタイルを使える?
A.I.VOICEには『ボイスフュージョン』という機能があります。これは他のA.I.VOICE音源を持っていれば、その音源の喋り方を使用している音源に真似させることが出来るというもの。例えば、琴葉茜ちゃん (関西弁のキャラ)を使って結月ゆかりちゃんに関西弁を喋らせられる、といった感じですね。
そしてこの機能を使うと、ボイススタイルはフュージョンさせる音源(上の例だと琴葉茜ちゃん)のものを参照するとのこと。
と思い、試してみたのですが……
使えはしますが、あんまり感情がこもった感じには喋ってくれませんでした。

比較として「明日、会いに行きます」というセリフを、ボイススタイルを使っていない状態と『喜び』のボイススタイルをMAXにした状態で喋らせたのがこちら。
紲星あかり(蕾)ボイススタイル無し
紲星あかり(蕾)ボイススタイル『喜び』MAX
上の動画で出てたあかりちゃんのような喜んでいる感じはあまり無いような気がします。うーん残念……。
ただ喋り方は変わっているので、調声の味付けとしては使えそうですね。
まとめ 機能豊富なA.I.VOICE版明かりちゃんの方がオススメ!
以上がA.I.VOICE版紲星あかりVOICEROID版紲星あかりの主な違いです。
まとめるとこんな感じ。
VOICEROID版と比較したA.I.VOICE版紲星あかりの違い
- 3つのボイススタイルで感情表現が可能
- 音声効果『話速』『高さ』『抑揚』の入力範囲を広げられ、表現の幅が広い
- アクセント、イントネーションの精度が向上しているので調声作業が省力化される
- 音声ファイルをWAV,MP3,WAMで出力可能
- 新規ボイス『紲星あかり 蕾』付き
やはり新製品ということで、VOICEROID版と比べるとかなり性能が向上しています。特にボイススタイルが本当にありがたい……!
と聞かれれば断然A.I.VOICE版ですね。
ラインナップはパッケージ版とダウンロード版の2種類。ダウンロード版はパッケージ版より価格が抑えめになっているので費用を抑えたい場合はダウンロード版がオススメです。
皆さんもぜひ感情豊かになったあかりちゃんを喋らせてみてください。
新しいA.I.VOICE音源として、なんとVOCALOIDで有名なGUMIちゃんが発売されました!
こちらの記事でレビュー(+ちょこっと調声晒し)してますので良ければ是非ご覧ください!

