トーク用とソング用の2種類のバージョンがある音声合成ソフト『CeVIO AI』。トーク用については以前、さとうささらちゃんのレビュー記事を上げています。
トーク用は合成音声を喋らせるのに特化したもので、非常に高性能なソフトでした。
しかし私は普段UTAUやVOCALOID等の、いわゆるボーカルシンセサイザーを喋らせている人間。「じゃあソング用はどうなんだろう?」と気になって仕方ありません。
ということで今回、CeVIO AI用のソングボイス『IA』ちゃんをお迎えしました!
IAちゃんと言えばVOCALOIDで有名ですよね。結構前の曲ですが、『六兆年と一夜物語』がすごく流行っていた印象があります。個人的には『東京リアルワールド』がかなり好きでよく聴いていました。
今回はそんなIAちゃんと、CeVIO AI ソングをレビューしていきます。
- ソングボイスのIAちゃんはどんな感じで喋ってくれるの?
- 喋りの調声の参考になる情報って何かない?
- そもそもソング用のCeVIO AIの使用感はどうなの?
こういった疑問の参考になれば幸いです。
動画サンプル ソングボイスのIAちゃんはこんな感じに喋ってくれます
まず結果から。実際にソングボイスのIAちゃんを喋らせた作品がこちらの動画です。共演しているのはUTAU音源の京音ロン君。
クリアで可愛らしい声をしていますね。昔ボカロ曲で聴いていたものとはまた違った印象です。これはこれで良き。
CeVIO AI ソング&IAちゃんのレビュー
ここからレビューです。せっかくなので先程の動画で使った調声ファイルを見ながらレビューしていきます。
UIはよくあるピアノロール形式
CeVIO AI ソングのUI(ユーザーインターフェース)はこんな感じでした。
ボーカルシンセサイザーソフトでよくあるピアノロール形式。VOCALOIDやSynthesizer V等他のソフトを使ったことある方は取っ付きやすいですね。
因みに先程の画像の左上に『さとうささら』ちゃんの顔が見えていますが、どうやらエディタソフトはトークとソングが統合されるようです。そうとは知らず、ソフトのインストール後「ソングのエディタはどこだ?」とPC内を探し回っていました……。既にCeVIO AIのトークエディタをお持ちの方は注意。
調声できるパラメータは6種類
主に調声できるパラメータは『タイミング』『ボリューム』『ピッチ』『ビブラートの振幅』『ビブラートの周期』『声質』の6つ。いずれもピアノロール上で編集できるので「このタイミングでこのパラメータを上げる/下げる」といった自由で直感的な調声が可能。これはかなり凝った調声なんかもできそうです。
因みにパラメータはピアノロール上に複数表示することもできます(上の画像ではピッチと一緒にタイミングを表示させています)。パラメータ間の関係を見るのに非常に便利な機能です。
また、声質はUI右端にあるつまみのようなボタン(下画像の赤丸で囲ったやつ)でも調節できます。こちらはトラック全体の声質を変えるもの。なので、まずこのボタンで好みの声質にしてからピアノロール上で細かく調声するのがオススメです。
調声してみた感想 かなり生っぽい声
以上のようにピアノロール上で編集できるおかげでパラメータ調声の自由度がかなり高いCeVIO AI ソング。実際に使ってみてその自由度の高さに驚きました。それだけにどう調声するか悩むことも……。と言っても基本はHANASUやトークロイドと同じ。やったことある方ならそこまで難易度は高くないと思います。
あと使用感だけで言えば、私が使ったことのあるソフトの中ではDeepVocalに近い印象でした。あっちもピアノロール上でパラメータ弄れますしね。
そんなCeVIO AI ソングを使ってIAちゃんに喋ってもらった音声データがこちら(動画に使ったセリフをいくつか抜粋)。
「何してるの?」
「今はポケモンカードが熱いって聞いたよ」
「コレクターも大変だねぇ」
個人的には「かなり生っぽい声だな」と感じました。
自然な喋り方という訳ではありませんが、なんだか人間の肉声にかなり近い声な気がしています。これがAIの為せる業なのでしょうか。他のボーカルシンセサイザーでこういう声を出すのは結構難しいんじゃないかと思います。少なくとも私には多分できない……。
これはCeVIO AI(もしくはIAちゃん?)ならではのメリットですね。
調声での注意点 ノートの位置が割と重要かも
ただ調声してみて注意した方がいいかなと感じたのはノートの位置。
というのも、ノートの位置を変えると声も変わることがあるからです。
試しに先程の「何してるの?」というセリフで、ノート位置変更前と変更後を聞き比べてみます。
ノート位置変更前
ノート位置変更後
どうでしょう?今回のは結構違いが出てたんじゃないでしょうか?
ノート位置を変えたのは最後の「の」。下の画像のように1オクターブ高くしました。変更前と比べると、少し強めな発声になってる感じがします。
このように結構声が変わるパターンもあるので、調声の際はノートの位置もいろいろ試してみた方がいいかも知れませんね。場合によっては、さらに良い声に調声できるかも?
まとめ CeVIOは他のソフトと違った感じで喋ってくれる
以上、CeVIO AI ソング版のレビューとしてIAちゃんを使ってみた感想をつらつらと書き連ねました。
まとめるとこんな感じ。
- パラメータをピアノロール上で編集できるので調声の自由度が高い&直感的に調声できる
- 他のソフトではあまりない生っぽい発声
- ノートの位置で声が変わることも→場合によっては更なる良調声のチャンス?
今までUTAUやVOCALOID等いろんなボーカルシンセサイザーを喋らせてきました。ですが、CeVIO AIのIAちゃんはこれらのソフトとはまた違った感じで喋ってくれますね。
あの生っぽい喋り方がIAちゃんのボイス特有のものなのかどうかは分かりませんが、他のソフトでは中々出せない個性だと思います。他のCeVIO AI ソングボイスでもこんな感じなのか気になるところですね。
ボーカルシンセサイザーでお喋りさせることの醍醐味はやっぱり『調声の自由さ』。この点はCeVIO AI ソングも他のソフト同様しっかり兼ね備えています。ソングボイスもどんどん新しい音源が発売されているので、是非皆さんもお気に入りのCeVIO音源を探して喋らせてみて下さい!