リアルな音質で大人気な音声合成ソフト『Synthesizer V Studio Pro』に、待望のアップデート版『Synthesizer V Studio 2 Pro』(以下SynthV2)が出て早数ヶ月。
プライベートや投稿動画でいくらか使ってみたんで、前バージョンと比べて良かったところ、気になるところをまとめました!
という方々の参考になれば幸い!
このブログ主は歌唱ソフトを喋らせる活動をしてます。なんで今回の記事もあくまでSynthV2を「喋らせた場合」のレビューです。
参考 SynthV2を喋らせるとこんな感じ!
参考までに、実際にSynthV2のお喋り音声を使ってる動画がこちら↓
この動画ではSynthVのテトさん(重音テト)とモカちゃん(宮舞モカ)を使用。モカちゃんがSynthV2版です。
こちらではボーカロイドでも有名なGUMIちゃんのSynthV2版を使ってます。
SynthV2は歌声を作るソフトなんですが、こんな風に喋らせることも可能。流石高性能ソフトだぜ……!
良かったところ① 声の生っぽさが向上。より人間っぽい声になった!
それではまず良かったところから。
前バージョンでもかなり自然な声が出せるSynthVでしたが、今回のSynthV2ではさらに声の生っぽさが向上!より人間っぽい声が出せるようになりました。
比較として上の動画でも出てたSynthV音源『宮舞モカ』ちゃんの前バージョン版とSynthV2版の声を用意しました。調声の差が出ないよう、どちらもベタ打ち(調声無し)です。
まず前バージョン版のモカちゃんの「らー」。
続いてこちらがSynthV2版モカちゃんの「らー」。
前バージョン版でもかなり人間らしい声だったんですが、SynthV2版ではさらに磨きがかかってる感じ。もはや命を感じる……!
おかげでよりリアルなお喋りを再現しやすくなりました。すごいぜSynthV2。
良かったところ② 新機能『マウスオープニング』が実装。声が結構変わって面白い!
SynthV2では前バージョンではなかった新機能として、『マウスオープニング』というパラメータが実装されました。

これは名前の通り口の開き具合を調節するパラメータ。
VOCALOIDで言う『MOUTH』に当たるやつですが、マウスオープニングはMOUTHに比べて結構声が変わります。
試しに比較してみると……
まずこちら↓がマウスオープニングを弄ってない「えー」というセリフ(使用音源は同じくSynthV2版のモカちゃん)。
そしてこちら↓がマウスオープニングを上げた状態。
こんな風にマウスオープニングを上げると口を開き目で発音する感じになります。語尾の息成分も増えてますね。
さらにこちら↓がマウスオープニングを下げた状態。
今度は口が閉じ気味の発音になり、ちょっと弱めな声になりました。
と、こんな感じで分かりやすく声が変わる!
お喋りの調声では声が変わるパラメータ(ジェンダーファクター等)は結構使いますので今後も活躍してくれそうです。
因みに自分は「はっきり発音してほしいところはマウスオープニングを上げる、あいまいな発音にしたいところは下げる」っていう使い方をよくしてます。
前バージョンでは発音記号で調節してた部分ですが、SynthV2で新しい調声方法が追加されたのは非常にグッド!
良かったところ③ 音素の操作感が向上。調声しやすくなった!
操作方法も前バージョンからいくらか変わってるんですが、特に改善されてるのが音素の操作方法。
前までは選択したノートのノートプロパティから編集していたんですが(画像①)、SynthV2では『音素タイミングパネル』で編集する、という形になりました(画像②)。


ピアノロールにノートを打ち込むと、音素タイミング上に音素が表示されます。全てのノートの音素が表示されるので、前バージョンと違ってノートを選択する必要なし!
さらに操作方法も変わって、前バージョンのバーを動かす手法から音素の棒グラフ?みたいのを操作する形に。

全体的に前バージョンよりも直感的で分かりやすく、操作感が向上しました。音素の調声が捗るぜ!
良かったところ④ SynthV2版音源はボーカルスタイルが追加。表現の幅が広がる!
SynthVには『ボーカルスタイル』という、声質(声の柔らかさや力強さ等)をコントロールできるパラメータがあります。前バージョンでもある機能で、超便利ゆえ自分もめっちゃ使ってます。
そんなボーカルスタイルですが、前バージョンからある音源さん(宮舞モカちゃんや弦巻マキちゃん等)はSynthV2版で新たなボーカルスタイルが追加されました!

ボーカルスタイルは怒った声やクールな声等、声のバリエーションを増やすのに重宝します。
つまり、『ボーカルスタイルが増える=表現の幅が広がる』ということ!作品作る上で最高過ぎるメリットだぜ……!
全ての音源さんのSynthV2版でボーカルスタイルが追加されるかは分かりませんが、これから発売される子達への期待が高まりますね。
気になるところ① ピッチ曲線の挙動が変更。ノート移動で連動しなくなった
ここからは気になったところ。
SynthVでは音のピッチ曲線(音の高さを表してる曲線)を編集できるのですが、このピッチ曲線の挙動が変更されました。
変更点は色々あるんですが、個人的に1番辛い変更が『ノートを動かしてもピッチ曲線が動かない』!
前バージョンではノートを上下に動かすと、そのノート上にあるピッチ曲線も連動して動いてました。

ピッチ曲線自体はペンツールで編集できるんですが、部分的にピッチ曲線を微調整したい場合にこのやり方が非常に便利。
だったんですがSynthV2ではノートを動かしてもピッチ曲線が動かなくなり、この調声方法が使えなくなりました。

前バージョンで多用してた調声方法なだけに、この仕様変更はかなり痛い……。微調整もペンツールでやるのキツイぜ……。
気になるところ② グループ機能の仕様が変更。ピアノロール上で移動できない?
グループ機能もかなり仕様が変更されました。
グループ機能とは複数のノートをまとめる機能。Excelにあるグループ化と似たようなやつです。
グループ化したノートはまとめて移動が可能で、しかもラウドネスやジェンダー等のパラメータも編集した部分が一緒に動いてくれます。1つのプロジェクトファイルで複数のセリフを調声する時なんかはセリフの間隔を調節するのに超便利でした。

で、前バージョンだとピアノロール上でグループを上下左右に移動できたんですが、SynthV2だとピアノロール上で移動できなくなってました。

それだけでなく、全体的な仕様もがっつり変更。
前バージョンでは『複数のノートを選択して右クリック→グループ化』という操作でグループ化してたんですが、SynthV2ではノートを打ち込んだ瞬間にグループが作成されるようになりました。
そもそも機能として別物になった感じがしますね。
あまり調声自体に関わる機能ではないので先程のピッチ曲線よりダメージは少ないものの、複数のセリフの調声は前バージョンよりやりにくくなったかな……と感じます。
まとめ 全体的に前バージョンより進化したSynthV2 今後のアップデートにも期待!
以上、まとめるとこんな感じ。
良かったところ
- より人間っぽい声になり、リアルな調声が可能に
- 新機能『マウスオープニング』が追加され、新たな調声が可能に
- 音素部分の操作感が良くなり、調声のしやすさが向上
- ボーカルスタイルが増えた音源ではさらに表現の幅が広がった
気になるところ
- ピッチ曲線がノートに連動しなくなり、ノート移動で動かなくなった
- グループ機能の仕様が大きく変わり、ピアノロール上で操作できなくなった
あくまで個人的な評価ですが、全体的に機能は向上。特にマウスオープニングは大きく声が変わるんでこの機能の追加が非常に嬉しい!
また、前バージョンと同じくスターターパック(Synthesizer V Studio 2 Proに好きな音源を無料でDLできるクーポンが付いたやつ)があるんで、
って方にも始めやすいのが嬉しいところ。
ただ全てにおいて前バージョンより良くなったというわけではないので(特にピッチ)、今後のアップデートに期待って感じですね。
SynthV2対応音源もどんどん発表されてるんで、ぜひ皆さんも触ってみて下さい!
今回は以上!それではノシ

