ペンタブレットメーカー大手Wacomより、新しいフラッグシップモデル『Cintiq Pro 27』が発売されました!
フラッグシップモデルなだけに、お絵描き初心者の自分には関係ねぇな、と思っていたんですが……
買っちゃった。もう欲しくて欲しくて我慢できんかった。
買っちゃったもんは仕方ないな!ってことで早速使用。今回はその時に感じたCintiq Pro 27のメリット、デメリット等をレビューしていきます!
- Cintiq Pro 27の使用感どんな感じ?
- お絵描き初心者が使ってもいいのかな……?
- 確かにスペック凄いけどデメリットとかある?
といった疑問の解決になれば幸い!
併せてエルゴトロンのモニターアーム『LX デスクマウント』も購入したんで、
って方も参考にしてもらえればと思います。
ぶっちゃけ最初に言っておくと、Cintiq Pro 27、お絵描き環境が激変するくらいめちゃすご液タブでした。お金かかったが買って良かったぜ……!
因みにこのアームとスペック同じ&保証期間短いけど価格安めな『Amazonベーシック デスクマウント』ってやつもあります。こっちもオススメ。
- Cintiq Pro 27のスペック
- ここが良いよ!Cintiq Pro 27のメリット5つ
- ここはイマイチかも……Cintiq Pro 27のデメリット3つ
- Cintiq Pro 27ではどうなの?液タブでよくある疑問4つと個人的回答
- まとめ その高価格をクリアできるなら、間違いなく最高の液タブ!
Cintiq Pro 27のスペック
今回買ったCintiq Pro 27のスペックは簡単にこんな感じ。
画面サイズ | 26.9インチ |
---|---|
本体サイズ | 379 x 638 x 31mm |
重量 | 7.2kg |
解像度 | 3840×2160(4K) |
リフレッシュレート | 120Hz |
色域カバー率 |
|
最大表示色 | 10億7,000万色 |
視野角 | 水平178°、垂直178° |
応答速度 | 10ms |
筆圧レベル | 8192レベル |
液晶 | IPS方式、アンチグレア加工 |
タッチ機能 | あり(オンオフ可能) |
ペン傾き検知 | ±60° |
ペン重量(グリップ無し、ボタン3個) | 9g |
接続端子 |
|
VESAマウント | 対応(100×100mm) |
流石はフラッグシップモデル。
高い色域カバー率、高解像度、高リフレッシュレートとかなりの「高」だらけスペックです。
自分が今まで使ってきた液タブ(Cintiq16とArtisulのD22S)はどっちも中堅レベルのスペックだっただけに、ちょっと気後れしちゃうぜ……。
因みにパソコンと繋げるケーブルもちゃんと付属。長さに問題なければ別途用意する必要は無し。
- USB Type-C to C (1.8m)
- USB Type-C to A (1.8m)
- DisplayPort to Mini DisplayPort (1.8m)
- HDMI (1.8m)
ここが良いよ!Cintiq Pro 27のメリット5つ
では実際にCintiq Pro 27を使って「良いじゃん!」って感じたメリットを挙げていきます。
メリットに感じたのは次の5つ。
メリット① リフレッシュレート120Hzのおかげで線が素早く引ける!線画作業が超快適!
個人的に1番のメリットはこれ。
120Hzという高めなリフレッシュレートに対応してるので、液晶のレスポンスがめっちゃ良いです。
おかげでペンを素早く動かしてもしっかり線が追従してくれる=線が素早く引ける!線画作業めっちゃ快適!
リフレッシュレートとは?
ざっくり言うと『1秒間に何回画面をリフレッシュ(更新)するか』っていうのを表した数値。120Hzなら1秒間に120回画面を更新してます。
マンガをメインで描いてる方には特に大きなメリットですね。
そうでなくても線画は大体のイラストで必要になるんで、プロアマ含め多くの絵描きに嬉しいメリット。実際イラスト初心者の自分もめっちゃ恩恵にあやかってます。
もう線画がかなり快適になって、線引くのがなんか楽しい。なんだこれ。
※リフレッシュレート120Hzはパソコン(グラフィックボード)側が対応してないと使えません。購入前にお使いのパソコンを要確認です!
メリット② 26.9インチの大画面でさらに作業性良し!
画面サイズも作業性に大きく関わってくるところ。
Cintiq Pro 27は26.9インチという大画面!おかげでお絵描きの作業性がめっちゃ良い!
因みに大画面液タブの作業性に関するメリットをざっと挙げるとこんな感じ。
- 大きなストロークで線が引ける
- キャンバスを拡大する頻度が減る
- ペイントソフトを立ち上げつつ、同じ画面内に資料等を表示できる
画面サイズが大きい方がいいか小さい方がいいかは個人の好みや作業環境によりますが、自分は断然大きい派。
前使ってた液タブD22Sも21.5インチと大きめでしたが、今回さらに大きくなってめっちゃ便利。やっぱ大きいのは良いな。
全くもってその通り。
なんですが、Cintiq Pro 27はベゼル(画面の枠の部分)が細めに設計されており、邪魔さ加減はいく分マシになってます。
流石にコンパクトっていうレベルじゃないですが、ワンサイズ下(24インチクラス)の液タブとそこまで変わらないサイズ感なのは素晴らしいの一言。机が広くない我が家ではめっちゃ有難い。
メリット③ タッチ機能が標準装備で普段使いにめっちゃ便利!オンオフの切り替えも簡単♪
Cintiq Pro 27ではタッチ機能が標準装備。
液タブのタッチ機能使うのは今回が初めてなんですが、このタッチ機能がなかなか便利でした!
何が便利なのかというと、主に普段使いの部分。
具体的にはこんな感じ。
- スマホのように指でパソコンソフトの起動や操作ができる
- 液タブの位置的にキーボードが使い辛い時も、タッチキーボードで文字入力できる
- マルチディスプレイでマウスカーソルがどこ行ったか分からなくなっても指で瞬時に操作できる
普段は液タブもモニターとして使ってる自分としては、モニターでもパソコン操作できるのは非常に有難い。パソコン環境がさらに便利になったぜ。
おまけにタッチ機能はオンオフの切り替えが可能。
なんで、
といった方も、自分の作業スタイルに合わせてオンオフを選べます。誰でも使える安心設計。
お絵描きの作業性もアップするけど、ぶっちゃけ左手デバイスのが便利
タッチ機能はもちろんお絵描きの作業性にも貢献します(というか本来そのための機能)。
ペン持ってない方の手でイラストの拡大・縮小・回転とかできるし、ボタン操作をペンだけでなく指でもできるし。
ただ、左手デバイス使ってる身としては左手デバイスの方が即座に操作できて便利に感じました(左手デバイスはそもそも腕動かさなくていいからね)。
なんで『イラスト制作の作業性を上げたい』のならタッチ機能使うよりも左手デバイス導入した方がいいんじゃないかなと思います。
特にTourBoxは個人的にめちゃくちゃオススメ。
ただ、Cintiq Pro 27はかなりの高価格&サイズ。
って方はタッチ機能の出番!是非使ってみて下さい。
タッチ機能使うなら誤動作防止グローブが必要
注意点として、タッチ機能使ってイラスト制作するなら誤動作防止グローブが必要です。
これがないとペンだけじゃなく手が触れてる部分も反応しちゃって、もう作業どころじゃない。
ペンを書道の筆みたいな持ち方する人はともかく、基本的には誤動作防止グローブ推奨です。
あと気を付けないといけないのが、ちゃんと『誤動作防止』を謳ってるグローブを使うこと。
イラスト制作に使うグローブには誤動作防止機能がないヤツもあります(汚れ防止や手と画面間の摩擦低減が目的のもの)。
そういうのは普通にタッチ機能反応しちゃったりするんで注意。
自分はさっき画像で出したTNTORってメーカーのを使ってます。エレコムのも使ったんですけど、あっちは指がかなりキツキツなんでこっちのが個人的にオススメ。
メリット④ 新型ペン『Pro Pen 3』が付属!自分好みにカスタマイズできる!
凄いのは液タブ本体だけじゃない!
Cintiq Pro 27にはWacomの新型ペン『Pro Pen 3(プロペン3)』が付属。
このペンがとにかくめっちゃいい。
何がいいって、なんとこのプロペン3、カスタマイズ用のパーツが付いてて自分好みに改造できちゃいます。すっげぇ……!
カスタマイズ用のパーツはこんな感じ。
- ペングリップ……2種(スタンダードとフレア)
- サイドスイッチありボタンプレート……2種(ラバーグリップあり用と無し用)
- サイドスイッチ無しボタンプレート……2種(ラバーグリップあり用と無し用)
- バランスウェイト(重り)……1本
これらのパーツを使ってペンの太さ・サイドスイッチの有無・ペンの重心なんかをカスタマイズし、自分の1番使いやすいペンを作れます。
おかげで
ってことが起きにくいです。すごい適応力のペンだ……。
因みに自分はペングリップとバランスウェイト無し+サイドスイッチありのスリムペン型で使ってます。鉛筆感覚の細さと軽さでめっちゃ使いやすい。
そして描き味も素晴らしいの一言。めっちゃいい感じです。流石Wacom。
標準芯、フェルト芯の描き味はそれぞれこんな感じでした。
- 標準芯……かなり滑らか。でもツルツル滑るというわけではなく、適度に引っ掛かりを感じます。
- フェルト芯……標準芯より引っ掛かりが強くなり、紙に描いてる感じに近いです。ペーパーライクフィルムよりは抵抗少な目。
自分は標準芯をメインに使っています。描き心地最高だぜ!
おまけに芯もプロペン2より太く大きくなり、削れにくくなってます。すごいぞプロペン3!
メリット⑤ VESA規格対応!市販のアームが使えるからコストを抑えられる!
自分みたいに液タブをモニターアームに取り付けて使ってる人にはめっちゃ有難いメリット。
Cintiq Pro 27はVESA規格(マウント)対応!なんで同じくVESA規格に対応した市販のモニターアームが使えます!これはマジで嬉しい。
何がそんなに嬉しいのかというと、ズバリ費用が安く済むから。
Cintiq Pro 27は直置きに対応しておらず、使うにはスタンドかモニターアームが必要になります。
しかし……Wacom公式のスタンドとアームはめっちゃ高い(どっちも数万レベル)!
これに対して市販のモニターアームなら大体1万台でしっかりしたヤツが買えます。圧倒的コスパ。
少しでもコストを抑えたいなら、市販のモニターアーム使うのがオススメですね。
Cintiq Pro 27をアームで使うと揺れはどんな感じ?
しかし液タブをモニターアームで使うとなると、どうしても気になるのが揺れの問題。
あんまりガタガタ揺れるとそもそも作業にならないですからね。
で、結論から言うと……
多少揺れますが作業できないほどではないです。
普通に線引く分にはそんなに揺れないですね。消しゴムとかでペンを左右に細かく動かしたりすると少し大きく揺れますが、個人的には問題になる程ではありませんでした。
LX デスクマウントのスペック
因みに今回使ったモニターアーム『LX デスクマウント』のスペックはざっくりこんな感じ。
積載荷重範囲 | 3.2kg〜11.3kg |
---|---|
高さ調整 | 33cm |
チルト角度 | 上向き70°、下向き5°の合計75° |
VESA規格 | 100×100mm穴、75×75mm穴 |
付属ネジ | M4×10ナベ小ネジ4個、M4×10つまみネジ4個 |
エルゴトロン製の定番モニターアーム。『モニターアーム』で検索したらよく出てくるやつですね。
実は同じエルゴトロン製でこれより最大積載荷重が大きい『HX デスクマウント』ってモデルもあります。
揺れ対策ならこっちのがいいかなぁと迷ったんですが、HX デスクマウントは
- 値段がLXの倍くらい高い
- 可動範囲がLXより狭い
のでLX デスクマウントを採用。
結果的にそこまで揺れなかったんでLX デスクマウントにして正解でした。流石定番モニターアーム。
というわけでCintiq Pro 27とLX デスクマウント(またはAmazonベーシック デスクマウント)の組み合わせ、オススメです。
補強プレートはあった方がいいぞ!
モニターアーム使うなら補強プレートもあった方が良いです。
何故かというと液タブの揺れがマシになるから。
補強プレートの役割は大体こんな感じ。
- モニターアームの傾きを抑え、安定感を向上させる
- 机の天板がしなるのを抑制する
- 机の天板を保護する
この中の①と②が液タブの揺れに直結する要素。
少しでも揺れを抑えたいなら補強プレート推奨です。
補強プレートについてはこちらの記事でもうちょい詳しく触れてます。良ければご参照ください。
液タブとアームの揺れをさらに抑える方法
でも専用スタンド買うお金も置くスペースも無いぜ!
という方向けに、モニターアームでも揺れを大幅に抑える方法を紹介しときます。
それはズバリ、液タブを接地させること。
これでかなり揺れが軽減されます。
接地させなきゃいけないので上下方向の移動は制限されますが、どうしても揺れが気になるって方はお試しあれ。
ここはイマイチかも……Cintiq Pro 27のデメリット3つ
続いてデメリット。これだけすごい液タブでもやっぱりデメリットはありますね。
個人的にデメリットに感じたのは次の3つ。
デメリット① とにかく高い!
まず何よりこれ。
価格めっちゃ高い。
基本的に良いモノにはそれ相応のお金がかかるべきという考え方の自分でも、額がデカすぎて流石に躊躇しました。約50万て……。
そういえば昨今の物価高の影響受けてWacomの一部製品が値上がりしましたし、それを考慮しての価格設定なのかも知れません。おのれ物価高……。
まぁモノはすんごく良いんで後悔はしていません。払った金額取り返せるくらい絵描いてやるぜ!
デメリット② 電源切るときはボタン長押し
Cintiq Pro 27は本体背面に電源ボタンがあります。
電源入れる際はこのボタンをポチッと1回押せばいいんですが、切る時は長押し(1秒くらい)しないといけません。何故だ。
この仕様のせいで電源切るのがちょっと煩わしい……。
個人的に電源オンと同じようにポチッと押すだけの仕様が良かったですね。
デメリット③ ペンの認識距離がちょっと短い?
今はもう大分慣れてきたんですが、液タブの画面からペンを認識するまでの距離が若干短めな気がします。
自分のペンの使い方だと「あれ?サイドスイッチ反応しない……あ、ペンちょっと離しすぎてたわ」ってことがたま~にあるんですよね。まぁ上2つに比べれば大したデメリットじゃないが。
とりあえず自分みたいにペン離し気味に使う方はちょっと慣れが必要かもです。
Cintiq Pro 27ではどうなの?液タブでよくある疑問4つと個人的回答
参考までに、液タブでよくある疑問点についてCintiq Pro 27ではどうだったのかもレビューしときます。
Q.フィルムって貼った方がいい?
A.自分は貼らなくていいかなってなりましたが、場合によっては貼った方がいいかも。
実は映り込み対策でアンチグレアフィルム買いました。
ですがCintiq Pro 27のアンチグレア加工かなり優秀で、フィルム貼らなくても問題ないレベルだったんですよね。
一応貼ってはみたもののそんなに変わらなかったんで、自分は貼らないことにしました。
なんで使用環境にもよりますが、アンチグレア目的なら貼らなくていいかなと思います。
ただ、フィルムには他にも
- ペンの描き味を変える
- キズが付くのを防ぐ
といった効果もあります。
って方はフィルム張った方が良いかもです。
ただし、(フィルムの種類にもよりますが)フィルム貼る場合にもデメリットがあり、
- 良くも悪くも画面の色見が多少変わる
- 僅かではあるが、視差は増える
- ペーパーライクフィルムはペン先の摩耗が早くなる
- Cintiq Pro 27は画面がデカく、綺麗に貼るのがめっちゃくちゃムズイ
なんかが挙げられます。
特に④。自分は貼るのに1時間くらいかかりました。しかもそんなに頑張ったのに結局剥がすことになるという……。
何はともあれ、フィルム貼るならその辺もご注意ください。
Q.視差どんな感じ?
A.ほぼ無いです。ただ視差関係なくペン先とカーソルのズレが若干あります。
視差は大分抑えられてますね。
今まで使った液タブはそこそこ視差あるタイプだったんでちょっとビックリしました。これがフルラミネーション加工とかダイレクトボンディング加工ってやつの力か……。
ただ、ペンの設計上の問題なのか、ペン先とカーソルのズレが若干あります。
自分はペン先よりもカーソル見て描くタイプなので全く気になりませんが、ペン先見て描く人はちょっと気になるかも?
Q.ファンの音はする?
A.若干します。でもうるさくは無い。
耳をすませば「サ~」って感じで、ささやかファンの音がします。個人的にはほぼ気にならないレベル。
音楽とかかければ聞こえなくなるんで、気になる方はお気に入りのBGMかけながら作業するのがオススメ!
Q.画面熱くなったりする?
A.今のところほぼ熱くならないです。
結構長時間使うこともあるんですが、今のところ熱さを感じたことは無いですね。
画面右下の辺りが仄かに温もりを感じることもありますが、熱いってレベルからは程遠いです。
熱対策もしっかりされてる模様。クールだぜ。
まとめ その高価格をクリアできるなら、間違いなく最高の液タブ!
- 120Hzの高リフレッシュレートで線画作業が超快適。
- 作業性の良い大画面。
- タッチ機能のおかげで普段使いも便利。要らない場合は簡単にオフにできる。
- 付属のプロペン3は自分の使いやすいようにカスタマイズ可能でさらに作業性向上。
- VESAマウント対応で市販のアームが使える。
ざっと上げてもこれだけメリットのあるCintiq Pro 27。
とにかく作業性が抜群に良くなるメリット盛り沢山。間違いなく現状最高の液タブですね。素晴らしすぎる。
作業性向上のメリットはプロの絵描きさんはもちろんのこと、お絵描き初心者の方にも恩恵があります。
当然これ使えば絵がうまくなるって訳じゃないですが、普段の作業性が良くなるんで絵を描く頻度が上がり、上達が早くなるという好循環に繋げることが可能。そういう意味ではプロだけじゃなくアマチュアの人にもオススメできる液タブです。実際自分も前より絵描くようになった(うまくなったかは……うん)。
導入には莫大なコストとそれをかけるだけの覚悟が必要ですが、そこをクリアできるならこれ以上にない最高の相棒になると思います。
さらに快適なイラスト制作ライフを求めるなら、一考の価値あり!是非検討してみて下さい。
さぁ絵描くぜ。